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チラシ配布の注意点・・・広告規制の対象外になるのはどんなものか?

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鍼灸や柔道整復師の業界の広告規制。
広告に、料金やら、症状名やらを書いてはダメ!というやつです。
虚偽や誇大広告による、患者の被害を防止する目的で制定されたもののようですが・・・

料金さえ分からない。
どういう治療院なのか分からない。

これって、逆に、患者にとって不利益を生んでいると考えられませんか?

(゚Д゚)ハァ? って一番思うのは、広告に掲載する項目について、「施術者の技能、施術方法又は経歴に関する事項にわたつてはならない」のところ。どんな施術方法するのか広告に載せちゃダメって・・・。何の罰ゲーム??

あとは、有資格者はダメで、無資格者はOKとかね。
つっこみどころ満載です。

解せませんね。

とは言いつつも、今すぐ何かが変わるわけではないので、現状の中で、やれることをやるしかありません。チラシを作る時は、何が広告規制に引っかかって、何が大丈夫なのかは、しっかり押さえておきましょう。

専門学校で教えてもらったと思いますが、忘れちゃった方はチラシを作る前に、一度思い出しましょう。

この後、ぐだぐだ書いていますが、最後に「まとめ」として、要点を書いていますので、読むのが面倒くさい方はすっ飛ばして、最後だけちゃちゃっと読んで下さい (・o・)ゞ (法律の解釈は、あくまで私見ですので、ヨロシクお願いします)


あはき法・柔整法の広告規制


あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律(あはき法)第 7条柔道整復師法(柔整法)第 24 条によると、広告しうる事項としてあげられている項目は、次の通りです。


一 施術者である旨並びに施術者の氏名及び住所
二 業務の種類
三 施術所の名称、電話番号及び所在の場所を表示する事項
四 施術日又は施術時間
五 その他厚生労働大臣が指定する事項

五 について→(あはき法)
① もみりょうじ
② やいと、えつ
③ 小児鍼
④ あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律第9 条の2 第1 項前段の規定による届出をした旨
⑤ 医療保険療養費支給申請ができる旨(申請については医師の同意書が必要な旨を明示する場合に限る。)
⑥ 予約に基づく施術の実施
⑦ 休日又は夜間における施術の実施
⑧ 出張による施術の実施
⑨ 駐車設備に関する事項

①~③は、柔整の場合は、ほねつぎ(又は接骨)となります。

詳細はこちら→きゅう師等における広告の制限について


<追記>
平成28年6月29日に、広告し得る事項の一部が改正され、上記の④が追記されました。
◆医政発0629第2号◆
◆医政発0629第3号◆
参考:→医道の日本 業界ニュース


治療適用の症状名や料金は、広告可能な項目になっていません。

チラシに適応症状や料金を載せると、この法律に抵触する可能性があるということです。

でも、院内掲示用のチラシや患者様自身が手にとって持ち帰るためのチラシ、あるいは患者様へ手渡しで渡すというような場合は、広告規制の対象外になります。

なぜかというと、この場合、「広告」に当たらないからです。院内での案内文書は、広告ではなく、情報を開示する目的の書面という判断になるようです。

それでは、何をもって、「広告」と定義されるのでしょうか。


医療広告ガイドラインを元に考えてみる


厚生労働省が医師・歯科医師に向けて定めた医療広告ガイドラインに、「広告」の定義について、こう掲載されています。

1 広告の定義

法第2章第2節「医業、歯科医業又は助産師の業務等の広告」の規定による規制の対象となる医療に関する広告の該当性については、次の①~③のいずれの要件も満たす場合に、広告に該当するものと判断されたい。

①患者の受診等を誘引する意図があること(誘因性)

②医業若しくは歯科医業を提供する者の氏名若しくは名称又は病院若しくは診療
所の名称が特定可能であること(特定性)

③一般人が認知できる状態にあること(認知性)

なお、①でいう「誘因性」は、広告に該当するか否かを判断する情報物の客体の利益を期待して誘因しているか否かにより判断することとし、例えば患者による体験手記や新聞記事等は、特定の病院等を推薦している内容であったとしても、①でいう「誘因性」の要件を満たさないものとして取り扱うこと。

また、②でいう「特定性」については、複数の提供者又は医療機関を対象としている場合も該当するものであること。

鍼灸や柔整用に書かれたものではありませんが、何をもって広告とするかと考える場合、こちらの定義をベースに考えればいいのではないかと思います。

  • 誘因性
  • 特定性
  • 認知性

これがあるかどうかが、「広告」であるかどうかの判定になるようです。

このガイドラインには、広告規制の対象となることを避ける意図をもって、外形的に回避するための表現をした場合にも言及していて、こういう場合はNGですよ!と、具体例がこの後、書かれています。

さらにその後に、広告とは見なされないものの具体例も載っています。ちょっと長くなりますが、引用します。

第2 広告規制の対象範囲  

6 通常、医療に関する広告とは見なされないものの具体例

(1)学術論文、学術発表等
学会や専門誌等で発表される学術論文、ポスター、講演等は、社会通念上、広告と見なされることはない。

これらは、本指針第2の1に掲げた①~③の要件(※注釈)のうち、
①の「誘因性」を有さないため、本指針上も原則として、広告に該当しないものである。

ただし、学術論文等を装いつつ、不特定多数にダイレクトメールで送る等により、実際には特定の医療機関(複数の場合を含む。)に対する患者の受診等を増やすことを目的としていると認められる場合には、①の「誘因性」を有すると判断し、①~③の全ての要件を満たす場合には、広告として扱うことが適当である。

(2)新聞や雑誌等での記事
新聞や雑誌等での記事は、本指針第2の1に掲げた①~③の要件(※注釈)のうち、①の「誘因性」を通常は有さないため、本指針上も原則として、広告に該当しないものであるが、費用を負担して記事の掲載を依頼することにより、患者等を誘因するいわゆる記事風広告は、広告規制の対象となるものである。

(3)体験談、手記等
自らや家族等からの伝聞により、実際の体験に基づいて、例えば、A病院を推薦する手記を個人Xが作成し、出版物やしおり等により公表した場合や口頭で評判を広める場合には、一見すると本指針第2の1に掲げた①~③の要件(※注釈)を満たすが、この場合には、個人XがA病院を推薦したにすぎず、①の「誘因性」の要件を満たさないため広告とは見なさない。
ただし、A病院からの依頼に基づく手記であったり、A病院から金銭等の謝礼を受けている又はその約束がある場合には、①の「誘因性」を有するものとして扱うことが適当である。また、個人XがA病院の経営に関与する者の家族等である場合
にも、病院の利益のためと認められる場合には、①の「誘因性」を有するものとして、扱うものであること。

(4)院内掲示、院内で配布するパンフレット等
院内掲示、院内で配布するパンフレット等はその情報の受け手が、現に受診している患者等に限定されるため、本指針第2の1に掲げた①~③の要件(※注釈)のうち、③「一般人が認知できる状態にあること」(認知性)を満たすものではなく、情報提供や- 7 -
広報と解される。ただし、希望していない者にダイレクトメールで郵送されるパンフレット等については、③の一般人への認知性に関する要件を満たすものとして取り扱うものであること。

(5)患者等からの申し出に応じて送付するパンフレットやEメール
患者等からの申し出に応じて送付するパンフレットやEメールは、本指針第2の1に掲げた①~③の要件(※注釈)のうち、③の「認知性」を満たすものではなく、医療機関に関する情報や当該医療機関での治療法等に関する情報を入手しようとする特定の者に向けた情報提供や広報と解されるため、広告とは見なされない。

病院等のメールマガジンも、その病院等から送られてくることを希望した患者等へ送信される場合には、広告とは見なされないが、病院等とは直接関係がないメールマガジンは、当該メールマガジンの配信希望者や会員に限定されるとしても、当該病院等とは関係のない一般人向けとなるので、③の一般人への認知性に関する要件を満たすものとして扱うことが適当である。

(6)医療機関の職員募集に関する広告
医療機関に従事する職員の採用を目的としたいわゆる求人広告は、通常、医療機関の名称や連絡先等が記載されているが、当該医療機関への受診を誘引するものではないことから、本指針第2の1に掲げた①~③の要件(※注釈)のうち、①の「誘因性」を有するものではない。そのため、本指針の対象となる医療に関する広告ではない。

(7)インターネット上のホームページ
インターネット上の病院等のホームページは、当該病院等の情報を得ようとの目的を有する者が、URLを入力したり、検索サイトで検索した上で、閲覧するものであり、従来より情報提供や広報として扱ってきており、引き続き、原則として広告とは見なさないこととする。

また、インターネット上のバナー広告、あるいは検索サイト上で、例えば「癌治療」を検索文字として検索した際に、スポンサーとして表示されるものや検索サイトの運営会社に対して費用を支払うことによって意図的に検索結果として上位に表示される状態にしたもの(以下「バナー広告等」という。)などでは、バナーに表示される内容や検索結果として画面上に表示される内容等については、実質的に本指針第2の1に掲げた①~③のいずれの要件も満たす場合には、広告として取り扱うこと。この場合、バナー広告等にリンクしている病院等のホームページについても、バナー広告等と一体的な関係にあることによって一般人が容易に認知できる状態にあることから、本指針第2の1に掲げた③の要件を満たすものであり、更に同1に掲げた①及び②の要件を満たす場合には、広告として取り扱うこと。

<厚生労働省医療広告ガイドラインより引用>

<注釈>
『本指針第2の1に掲げた①~③の要件』とは、
①患者の受診等を誘引する意図があること(誘因性)
②医業若しくは歯科医業を提供する者の氏名若しくは名称又は病院若しくは診療
所の名称が特定可能であること(特定性)
③一般人が認知できる状態にあること(認知性)
です。

まとめ


院内で手渡しするチラシについては、「(4)院内掲示、院内で配布するパンフレット等」の箇所が該当します。

つまり、院内で手渡しするチラシは、情報提供・広報という解釈になり、広告に該当せず、ポスティングや新聞折り込みといった、興味がない人にまで配るようなものは、広告とみなされる。その場合は、法律に定められた項目しか載せられない。

よって、院内掲示や、院内での手渡し、ホームページについては、広告とみなされないので、規制の対象外である。


ホームページについては、「(7)インターネット上のホームページ」は、広告規制の対象外と明記されています(今のところ)。

※広告規制の改正については、こちらの記事をご確認下さい。
厚生省がホームページの広告規制を改定しました


・・・という判断で、おおむね良いのかなーと、私は思っています。ちゃんと解釈できていない可能性もあるので、絶対これで良いという自信は全然ないです。なので、保健所の担当者によっては、ダメという人もいる可能性ありです。

だけど。
何でもかんでも載せちゃダメ!なら、治療院で何をやっているのか、知らせる方法がありません。
「広告規制があるから・・・」と言って、どんな治療院か分からないようなチラシを作っても、やるだけ無駄です。

チラシを作る場合は、広告規制に注意しながら作るのは大事。
だけど、いたずらに恐れるのはNG。
利用する人にも不利益です。

ちなみに、こんなレポートもありましたので、ご参考までに。
→広告規制の誤解
興味深い内容でした。


あと、保健所によって、あるいは保健所の担当者によって見解に違いがあるという例をひとつ。

ホームページのアドレスを載せても良いかどうかの判断が、保健所によって答えが違っています。






こちらの記事もどうぞ
ローカル雑誌に広告掲載→保健所から電話がかかってきた話


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